香港の有志がLocalmonero.coをスタート

香港の有志がLocalmonero.coをスタート

日本では改正資金決済法が施行されているので、オンラインの販売所で取引する場合は、かならず身分証明書の提出と住所確認が求められる。それ以外の方法で仮想通貨を買う場合は、個人間売買で行うことになる。

ちょっとした世界の田舎(?)に行くと両替所ではなく、ブローカーと現金を交換するケースがまれにあるが、仮想通貨の個人間売買も似たようなものだ。

Bitcoinでの個人間売買をいち早く実現したのが、2012年にスタートしたLocalBitcoins.comである。ただし、Bitcoinの場合はブロックチェーンの取引がすべて記録、公開されているので誰が誰と現金とBitcoinを交換したかは、調べようと思えば調べることが可能なのだ。

このオンライン上での個人間売買を、暗号通貨Moneroを使って実現したのが、Localmonero.coである。

暗号通貨Moneroは、暗号手法としてリング署名方式を採用している。Bitcoinのような一対一の鍵認証でなく、複数の鍵を束ねて利用することで、誰が誰と署名したのかを特定しにくくしている。



あくまでもしにくくしているというのが特徴で、Zcashのようなゼロ知識証明ではないため、結局のところMoneroはBitcoinに比べれば匿名性が高いがZcashに比べれば匿名性は低い、という位置づけになる。

このMoneroを使った個人間売買取引を香港の有志が立ち上げたというのは、今後サービスとMoneroの流通がどう発展していくのか興味深い点だ。その一つの理由は、香港は本来、レッセフェール(自由放任主義)であったが、雨傘革命以降はレッセフェールも制限されつつあるからだ。

また、香港に限らず世界的にみてAML(アンチマネーロンダリング)対策が広がっている。実際、個人間売買で複数回ビットコインを売却したアメリカ人は有罪判決を受けている。「事業(=商売)」として法律を逃れてビットコインの売買をした、というのが罪になるからだ。

本来はレッセフェール(自由放任主義)である香港有志が立ち上げた、リング署名方式を採用したLocalmonero.coはどうなっていくのだろうか?Moneroや暗号通貨の普及、利用の在り方や規制当局との兼ね合いも含めて注目してみたい。

暗号通貨の世界は法律的に未知の領域がたくさんある。こういったことを知らずに利用する一般の投資家は、知らずにマネーロンダリングの金融取引の署名チェーンに自分の署名が入っていてある日突然FBIが来た、ということがないように気を付けよう。

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